令和5年度 京大ロー入試 民事訴訟法

 今回は令和5年度京大ロー入試の民事訴訟法について書きたいと思います。

 

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①解答構成

②反省

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民事訴訟法 33点

 

①解答構成

50分 3枚半

 

弁論主義の定義

弁論主義の趣旨

《規範》本質説

第1テーゼ「主張原則」

⑴適用範囲

 《規範》弁論主義の適用範囲

 本件では、主要事実は①XがYに150万円を貸し渡したこと②Yが弁済期を過ぎても150万円をXに返済していないことである。これらの事実についてXは陳述しているので、裁判所が当該事実を判決の基礎にすることができる。

⑵訴訟資料と証拠資料の峻別

 《規範》訴訟資料と証拠資料の峻別

 本件では、もしXが第1回口頭弁論期日ではなく、当事者尋問(民事訴訟法207条1項)のなかで本件のような主張をしていた場合には、裁判所は当該事実を判決の基礎にできない。

⑶主張共通の原則

 《規範》主張共通の原則

 本件では、もしXではなくYがXの本件主張をしていた場合でも、裁判所は当該事実を判決の基礎にできる。

第2テーゼ「自白原則」

⑴裁判上の自白の定義

 1.口頭弁論期日及び弁論準備期日における弁論としての陳述であること

 2.事実についての陳述であること

   《規範》弁論主義の適用範囲

 3.相手方の主張との一致

 4.自己に不利益な内容の陳述

   《規範》証明責任説

 本件では、上記①②の主要事実については証明責任がXにあるため、口頭弁論期日及び弁論準備期日において、Yがその内容を認める旨の弁論としての陳述をしていれば、裁判上の自白として認められる。

⑵裁判所拘束力

 本件では、Yが裁判上の自白にあたるような上記陳述をすれば、裁判所は当該事実を判決の基礎にしなければならない。

⑶当事者拘束力

 《規範》自白機能保障説

 《規範》撤回が認められる場合

 本件では、Yが裁判上の自白にあたるような上記陳述をすれば、その主張を撤回することはできない。もっとも、撤回が例外的に許容される場合にあたるような事情があれば、Yは当該主張を撤回できる。

⑷証明不要効(民事訴訟法179条)

 主要事実のみでなく、間接事実や補助事実にも適用。

 本件では、Yが自白した事実については、Xが証明する必要はなくなる。

⑸権利自白

 《規範》権利自白

第3テーゼ「証拠原則」

本件では、Xが「金銭消費貸借契約書」を証拠として申し出たことにより、裁判所は当該契約書を証拠調べすることができる。

Yの「原告の請求を棄却する」との判決を求める旨の陳述は、特に訴訟法上の効果を持つではなく、このままYがなんらXの主張について反論しなければ、Yは敗訴してしまうことになる。

 

 

②反省

 問題を見た時には何を書けばいいのかよくわかりませんでした。しかし問題文に「民事訴訟の手続において」という、広範囲が対象であることを示す言葉があったので弁論主義について知っていることを書きまくろうという考えになり、解答の道筋が立ちました。

 「本件訴訟において想定される訴訟行為」を想像するのが難しく、ほぼすべての観点においてそれっぽい訴訟行為を無理矢理に書きました。あと権利自白は本件訴訟にあまりにも関係なさそうでしたが、その内容に関しては結構詳細に書きました(本件訴訟において想定できる権利自白は書いていません)。手ごたえは悪くなかったと思います。